会社で生成AIを使う前に決めるべき10のルール|情報漏えいを防ぐ設定例も解説

会社で生成AIを使う前に決めるべきルール
禁止するのではなく、安全に使える範囲を決める
生成AIは、文章作成、要約、翻訳、アイデア整理など、さまざまな業務を効率化できます。
これまで一時間かかっていた作業が、短時間で終わることもあります。
便利な一方、企業で利用する場合は注意が必要です。
例えば、取引先へのメールを整えるため、受信した文章をそのまま生成AIへ貼り付けたとします。
文章に会社名、担当者名、契約金額、未公開の情報が含まれていれば、それらも外部サービスへ送信されます。
利用者は、情報を漏らそうとしたわけではありません。
仕事を早く終わらせようとして操作しただけです。
だからこそ、個人の判断だけに任せず、会社として利用ルールを決める必要があります。
全面禁止だけでは問題を解決できない
情報漏えいを心配し、生成AIを全面的に禁止する方法もあります。
しかし、職員が個人アカウントを使い、会社へ知らせずに利用すれば、かえって実態を把握できません。
必要なのは
「使ってはいけない」
という一言ではなく、次の内容を明確にすることです。
- 会社が利用を認めるサービス
- 業務で使用するアカウント
- 入力してよい情報
- 入力してはいけない情報
- 出力内容の確認方法
- 誤入力した場合の報告先
生成AIを自由に使わせるか、全面禁止するかの二択ではありません。
安全に利用できる範囲を決めることが重要です。
会社が認めるサービスとアカウントを決める
職員がそれぞれ異なる生成AIを使うと、会社はどのサービスへ何が入力されたのか把握できません。
業務利用を認めるサービスを限定し、会社が管理するアカウントを使用します。
例えば、次のようなルールです。
- ChatGPT、Copilot、Geminiなど、会社が指定したサービスだけを使う
- 個人アカウントへ業務情報を入力しない
- 新しい生成AIを使いたい場合は管理者へ相談する
- 利用者ごとに個別アカウントを発行する
- 多要素認証を設定する
企業向けプランでは、入力内容を初期設定でモデル学習へ使用しない仕組みや、管理者による利用制御が提供される場合があります。
ただし
「学習へ使われない」
ことと
「機密情報を入力してよい」
ことは同じではありません。
企業向けプランであっても、入力する情報は必要最小限にします。
入力してよい情報と禁止情報を分ける
社内ルールでは、入力情報を具体的に分類します。
入力してよい情報
- 既に公開されている情報
- 一般的な業務知識
- 架空の会社名や人物を使った例
- 個人や企業を特定できない文章
- 公開を前提としたブログや広告文の下書き
入力前に確認が必要な情報
- 社内向け資料
- 公開前の文章やデザイン
- 会議メモ
- 社内の業務手順
- 匿名化した集計結果
入力してはいけない情報
- 顧客、利用者、患者、従業員などの個人情報
- 病歴、障害、服薬、健康状態
- ID、パスワード、認証コード
- クレジットカードや銀行口座情報
- 秘密保持契約の対象情報
- 未公開の契約、見積もり、事業計画
- APIキー、秘密鍵、システムの脆弱性情報
文章を整えたい場合は、固有名詞や金額を架空の内容へ置き換えてから入力します。
正確な背景をすべて渡すのではなく、作業に必要な情報だけを渡すことが基本です。
プライバシー設定を確認する
プライバシー設定は、誤入力時のリスクを下げる補助策です。
ですが設定したからといって、機密情報を入力してよいわけではありません。
<参考> ChatGPTの設定例
個人向けChatGPTでは、次の設定を確認します。
- 設定を開く
- データコントロールを開く
- モデル改善への利用をオフにする
- 必要に応じてメモリと過去のチャット参照をオフにする
- 一時的な作業では、一時チャットを使用する
業務で継続利用する場合は、会社が管理できるBusinessなどの法人向けプランも検討します。
メールやクラウドとの接続は必要最小限にする
生成AIは、メール、Google Drive、OneDrive、カレンダーなどと接続できる場合があります。
便利ですが、接続すると参照できる情報の範囲も広がります。
接続前に、次の点を確認します。
- どの情報へアクセスできるか
- 閲覧だけか、変更もできるか
- 利用者の権限が広すぎないか
- 管理者が利用状況を把握できるか
- 退職時に接続を解除できるか
便利だからすべて接続するのではなく、業務上必要なものだけを許可します。
AIの回答は必ず人が確認する
生成AIは、自然で説得力のある文章を作ります。
しかし、文章が自然であることと、内容が正しいことは同じではありません。
次の内容は、必ず人が確認します。
- 日付と金額
- 法律、制度、助成金
- 製品やサービスの仕様
- 引用元
- 顧客や取引先の名称
- 著作権や商標
- 会社として約束できる内容
契約、法律、医療、福祉、会計、人事、セキュリティなど、誤りの影響が大きい分野では、AIだけで結論を出してはいけません。
生成AIは、下書きを作る支援者です。
最終的な判断と責任は人が持ちます。
誤って情報を入力した場合
入力ミスを完全になくすことはできません。
重要なのは、誤入力を隠さず、すぐに報告できることです。
機密情報や個人情報を入力した場合は、次のように対応します。
- それ以上の操作や共有を止める
- 入力した内容と日時を記録する
- 会話やアップロードファイルを削除する
- 社内責任者へ報告する
- パスワードなどを入力した場合は直ちに変更する
- 影響範囲と外部報告の必要性を確認する
誤入力した職員を責めるだけでは、次の事故が報告されなくなります。
入力した理由を確認し、説明や承認手順を見直すことが重要です。
最低限決めるべき10のルール
最初から長い規程を作る必要はありません。
まずは、次の内容を一枚にまとめます。
- 会社が認める生成AIだけを使う
- 会社が管理するアカウントを使う
- 個人情報、認証情報、秘密情報を入力しない
- 必要な場合は匿名化してから入力する
- AIの回答は必ず人が確認する
- 契約、法律、医療、会計などをAIだけで判断しない
- 外部サービスとの接続には承認を受ける
- 著作権、商標、事実関係を確認する
- 誤入力や不審な動作は直ちに報告する
- 退職や異動時にアカウントと接続権限を解除する
生成AIの機能や利用状況に合わせ、ルールは定期的に見直します。
TrusKiteが支援できること
TrusKiteでは、生成AIを禁止するためではなく、安全に活用できる環境を整える支援を行います。
- 業務利用を認めるサービスの選定
- 個人向けと企業向けプランの比較
- 入力可能な情報と禁止情報の整理
- ChatGPT、Copilot、Geminiの設定確認
- 多要素認証とアカウント管理
- クラウド連携の確認
- 社内向け利用ルールの作成
- 職員向け説明資料の作成
- 誤入力時の対応手順作成
- 導入後のルール見直し
企業によって、扱う情報や生成AIの利用目的は異なります。
文章作成だけに使う企業と、社内ファイルやメールへ接続する企業では、必要な対策も異なります。
現在の業務を確認し、便利さを残しながら、危険な部分を曖昧にしない運用を設計します。
安心して使うための境界線を作る
生成AIを使う職員の多くは、情報を漏らそうとしているわけではありません。
仕事を早く終わらせたい。
分かりやすい文章を作りたい。
より良い案を考えたい。
そのような前向きな理由で利用しています。
だからこそ、個人の注意力だけに安全を任せてはいけません。
会社が利用サービスを決める。
入力禁止情報を具体的に示す。
安全なアカウントと設定を用意する。
AIの回答を人が確認する。
問題が起きたときに、すぐ報告できるようにする。
生成AIの利用ルールは、職員を縛るためのものではありません。
安心して便利な機能を使うための境界線です。
※生成AIの設定、保存期間、データ利用条件および管理機能は、サービスや契約プランによって異なります。
※プライバシー設定や企業向けプランを利用しても、すべての情報漏えい、誤入力、不正アクセスを防止できるものではありません。