会社の電話をクラウド化し、場所に依存しない電話環境へ

会社の電話をクラウド化するとは?
固定電話とビジネスフォンの利便性を残しながら、BCPに強い電話環境をつくる
会社にとって、電話は今も重要な連絡手段の1つです。
メール、SNSなどをはじめとしたチャット、Web会議が普及した現在でも、顧客からの問い合わせ、取引先との連絡、緊急時の対応、予約受付などでは、電話が多く使用されています。
電話は、普段問題なく利用できている間は、見直しの対象になりにくい設備です。
しかし、災害、停電、機器故障、事務所への立ち入り制限などが発生すると、それまで当然のように使えていた会社の電話番号が、突然業務上の弱点になることがあります。
会社の電話を考える際には、「電話機が使いやすいか」だけでなく、次の点まで確認する必要があります。
- 事務所へ行けない場合でも電話を受けられるか
- 電話の主装置が故障した場合に業務を継続できるか
- 担当者が不在の場合に別の人が応答できるか
- 入社、異動、退職時に設定を変更できるか
- 営業時間外や休日の着信を適切に処理できるか
- 複数拠点や在宅勤務者を含めて電話を運用できるか
電話は、単なる通信機器ではありません。
顧客との接点を維持し、事業を継続するための業務基盤として設計する必要があります。
固定電話そのものが危険なわけではない
固定電話や従来型のビジネスフォンには、多くの利点があります。
例えば、電話機に配置された保留、転送、短縮ダイヤルなどのボタンは、日常的に電話を扱う職場では分かりやすく、操作にも慣れやすい仕組みです。
代表電話への着信を複数の電話機で受ける、保留した電話を別の担当者へ渡す、内線で職員を呼び出すといった操作も、従来型のビジネスフォンが長く利用されてきた理由です。
パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな職員でも、物理的な電話機であれば迷わず使用できる場合があります。
したがって、クラウド電話へ移行する目的は、固定電話や電話機そのものを否定することではありません。
見直すべきなのは電話機そのものではなく、会社の電話が一つの事務所や一台の主装置だけに依存している状態です。
従来型ビジネスフォンに残るBCP上の課題
一般的なビジネスフォンでは、事務所内に設置された主装置やPBXが、複数の電話機、電話番号、内線、保留、転送などを制御しています。
この仕組みは、事務所内で電話を利用するには便利です。
しかし、主装置や回線側に問題が発生すると、複数の電話機が同時に利用できなくなる可能性があります。NTT東日本も、すべての電話機が利用できない場合には、主装置やPBX、回線全体を制御する機器の故障などが原因として考えられると案内しています。
事務所へ行けなければ電話に出られない
従来型の電話環境では、会社の電話番号へ着信した電話は、原則として事務所内の電話機で受けます。
次のような状況では、電話機自体が正常でも応答できません。
- 災害により事務所へ立ち入れない
- 交通機関が停止して出社できない
- 感染症や建物設備の問題で事務所を閉鎖した
- 大雨、台風、積雪などで在宅勤務へ切り替えた
- 電話担当者が外出または欠勤している
- 臨時休業中だが、緊急の電話だけは受けたい
転送電話を設定する方法もありますが、転送先が特定の担当者に集中すると、その担当者が不在の場合に対応できません。
また、転送先の変更方法を知っている人が限られている場合、緊急時に設定を変更できないことがあります。
主装置や電話機には更新時期がある
ビジネスフォンの主装置や電話機は、長期間使用できる機器です。しかし、永久に使用できるわけではありません。
機器が古くなると、故障の可能性だけでなく、修理部品の不足、メーカーサポートの終了、保守契約の終了なども問題になります。
NTT東日本も、従来型ビジネスフォンには買い替え時期があり、適切な時期に更新しない場合のリスクを案内しています。クラウド電話については、従来事務所内に設置していた主装置の機能をクラウド上で利用する仕組みとして説明しています。
故障してから交換しようとしても、同じ機器をすぐに調達できるとは限りません。
電話は顧客対応に直結するため、故障後に初めて更新を検討するのではなく、保守期限や利用年数を確認しておく必要があります。
人員や組織の変更に設備が追いつかない
入社、異動、退職、部署の新設、拠点の増減などがあると、電話番号や内線の設定変更が必要になります。
従来型のビジネスフォンでは、構成や保守契約によっては、設定変更のたびに保守業者への依頼や現地作業が必要です。
その結果、次のような状態が残りやすくなります。
- 退職者の名前が電話帳に残っている
- 内線表と実際の利用者が一致していない
- 部署異動後も以前の着信グループに入っている
- 使われていない内線番号が残っている
- 休日や営業時間が変更されても案内が古い
- 特定の担当者しか設定内容を把握していない
電話環境も、組織の変更に合わせて継続的に管理する必要があります。
BCPとは「電話機を守ること」ではない
BCPは、Business Continuity Planの略で、一般に事業継続計画と呼ばれます。
電話におけるBCPでは、電話機や主装置を故障させないことだけが目的ではありません。
重要なのは、何らかの設備が利用できなくなっても、顧客や取引先との連絡手段を維持することです。
例えば、事務所内の電話設備が使えなくても、別の場所にいる職員が会社の代表番号への着信を受けられれば、顧客対応を継続できます。
反対に、耐久性の高い電話設備を導入していても、職員が事務所へ入れなければ電話には出られません。
つまり、BCPの観点では、設備の耐久性だけでなく、場所、人、機器への依存を分散することが重要です。
会社の電話をクラウド化するという考え方
クラウド電話では、従来事務所内に設置していた主装置やPBXの機能を、クラウド上のサービスとして利用します。
NTT東日本の「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」は、Webexを利用し、設定したオフィスの電話番号で発信・着信できるサービスです。
利用環境や契約内容に応じて、次のような端末から会社の電話番号を利用できます。
- パソコン
- スマートフォン
- タブレット
- Webex Callingに対応したIP電話機
クラウド化は、必ずしも事務所から電話機をなくすことではありません。
従来どおり物理的な電話機を設置しながら、外出する職員や在宅勤務者にはパソコンやスマートフォンを割り当てる構成も可能です。Webex Callingでは、対応するIP電話機をユーザーやワークスペースへ割り当てて管理できます。
電話を利用する場所や職員の業務に応じて、適切な端末を組み合わせられることがクラウド電話の特徴です。
会社の電話番号を事務所から切り離す
クラウド電話では、Webexアプリを設定したパソコンやスマートフォンから、会社の電話番号で発信・着信できます。
これにより、次のような運用が可能になります。
- 外出中の担当者が会社番号への着信を受ける
- 在宅勤務中でも会社番号で発信する
- 複数拠点の職員が同じ代表電話へ対応する
- 事務所を一時閉鎖しても別の場所で電話対応する
- 個人の携帯電話番号を取引先へ知らせずに発信する
- 電話に出るためだけの出社を減らす
会社の電話番号を、事務所に置かれた一台の電話機から切り離すことで、働く場所が変わっても電話業務を継続しやすくなります。
電話を「鳴らす」のではなく「流れを設計する」
クラウド電話の価値は、スマートフォンで電話を受けられることだけではありません。
電話がかかってきた後に、誰へ、どの順番で、どの条件でつなぐかを設計できます。
Webex Callingでは、自動音声応答、ハントグループ、コールキューなど、複数の着信処理方法が用意されています。営業時間、営業時間外、休日に応じた着信処理も設定できます。
自動音声応答
例えば、代表電話へ着信した際に、次のような案内を流せます。
お問い合わせありがとうございます。
ご利用に関するお問い合わせは1番、採用に関するお問い合わせは2番、その他のお問い合わせは3番を押してください。
番号ごとに、担当部署、担当者、外部の電話番号、留守番電話などへ振り分けることができます。
Webex Callingの自動音声応答では、営業時間と営業時間外のメニュー、挨拶、転送先、休日スケジュールなどを管理できます。
ハントグループ
代表電話に着信した際、複数の担当者を順番または同時に呼び出す構成です。
一人目が応答しなければ二人目へ回す、複数人を同時に呼び出すなど、業務内容に合わせて設計します。
コールキュー
電話が集中した場合に、着信を待ち行列として管理する仕組みです。
Webex Callingのコールキューでは、担当者が応答するまで、自動応答、案内メッセージ、保留音などを流す構成が可能です。
予約受付、問い合わせ窓口、サポート窓口など、同時に複数の電話がかかる業務に適しています。
平常時だけでなく、営業時間外や緊急時を設計する
電話環境を導入する際は、通常の営業時間中だけを考えてはいけません。
次のような状況を事前に設計します。
- 営業時間外
- 土曜日、日曜日、祝日
- 年末年始
- 臨時休業
- 災害発生時
- 担当者が不在の場合
- 一定時間誰も応答できない場合
- 電話が集中している場合
- 通常の事務所が利用できない場合
例えば、営業時間中は事務所と外出中の担当者を呼び出し、営業時間外は留守番電話へ接続する構成が考えられます。
災害時のみ、特定の携帯電話や別拠点へ転送する構成も検討できます。
Webex Callingでは、営業時間や休日のスケジュールを作成し、自動音声応答や着信処理へ適用できます。
クラウド電話の導入では、機能を有効にするだけでなく、会社の業務に合った着信フローを事前に決めることが重要です。
閉域接続を使用する選択肢
NTT東日本では、通常の「ひかりクラウド電話 for Webex Calling」に加え、「ひかりクラウド電話 ダイレクト for Webex Calling」も提供しています。
ダイレクト版では、オフィスからクラウドまでの音声通信に閉域接続を使用します。NTT東日本は、オフィスからの音声通信がインターネット区間を通らず、インターネットの混雑による影響を受けにくい構成として案内しています。
ただし、外出先やテレワーク環境からの通話は、インターネットを経由します。
通常版とダイレクト版のどちらを選ぶかは、次の条件を確認して判断します。
- 利用人数
- 同時通話数
- 音声品質の重要度
- 現在使用しているインターネット回線
- 拠点数
- テレワークの有無
- ネットワークの構成
- 必要な保守範囲
- 導入費用と月額費用
サービス名だけで選ぶのではなく、企業の利用環境に合った通信構成を設計する必要があります。
クラウド電話でも、すべてのリスクはなくならない
クラウド電話は、従来型ビジネスフォンの課題をすべて無条件に解決するものではありません。
電話の仕組みをクラウド化すると、主装置への依存は減りますが、次の要素が重要になります。
- インターネット回線
- 社内ネットワーク
- ルーターや無線LAN
- パソコンやスマートフォン
- 電源
- Webexアカウント
- 多要素認証
- クラウドサービスの稼働状況
- 利用者の操作
- 端末の紛失や盗難対策
例えば、事務所内のインターネット回線が停止すれば、その回線を使用するパソコンや電話機から通話できない可能性があります。
しかし、スマートフォンを携帯電話回線へ切り替えて利用できる構成であれば、事務所回線の障害時にも別の通信経路を確保できる場合があります。
クラウド電話をBCPへ活用するには、次のような対策を組み合わせます。
- 事務所とスマートフォンで通信経路を分散する
- 重要な端末へ予備電源を用意する
- 複数人が代表電話を受けられるようにする
- 緊急時の転送先を事前に決める
- 管理者アカウントを複数人で適切に管理する
- 多要素認証を設定する
- 障害時の連絡方法を電話以外にも用意する
- 定期的に緊急時の着信切り替えを確認する
「クラウドだから安全」と考えるのではなく、障害の影響を一つの場所へ集中させないためにクラウドを利用するという考え方が適切です。
電話帳や利用者情報も継続的な管理が必要
クラウド電話は、導入した時点で運用が終わるものではありません。
企業では、入社、退職、異動、組織変更、取引先の変更などが継続的に発生します。
そのため、次のような更新が必要です。
- 利用者の追加と削除
- 電話番号や内線番号の割り当て
- 表示名の変更
- 部署や着信グループの変更
- 代表電話の応答者変更
- 営業時間や休日の更新
- 自動音声応答の案内変更
- 転送先の変更
- 電話帳データの追加、編集、削除
- 使用端末の追加と解除
- 退職者のアカウント停止
- 管理者権限の変更
WebexのControl Hubでは、組織の連絡先について、電話番号、メールアドレスなどを確認し、連絡先の種類に応じて編集や削除ができます。
電話帳や組織情報が古いままでは、誤発信や連絡ミスの原因になります。
また、退職者のアカウントや権限を残すことは、セキュリティ上も適切ではありません。
クラウド電話では、機器の保守だけでなく、アカウント、電話番号、着信フロー、電話帳を継続して管理することが重要です。
導入前に確認すべき既存設備
現在使用している電話番号だけを確認して移行すると、導入後に想定外の問題が発生することがあります。
電話回線には、通常の通話以外の機器が接続されている場合があるためです。
導入前には、次の設備や契約を確認します。
- 代表電話番号
- 部署別や拠点別の電話番号
- FAX
- フリーダイヤル(フリーアクセスなど)
- 警備設備
- インターホン(ドアホン)
- エレベーターや非常通報設備
- 決済端末
- モデム通信を使用する機器
- 留守番電話
- 転送電話
- 録音装置
- 現在の電話機と主装置
- 回線契約と保守契約
すべての設備をWebex Callingへ移行する必要はありません。
通話はクラウド電話へ移し、FAXや特殊な通信機器は既存回線を残すなど、用途に応じて構成を分ける場合もあります。
重要なのは、契約してから接続方法を考えるのではなく、既存設備を調査したうえで移行範囲を決めることです。
TrusKiteが行う設計・導入支援
TrusKiteでは、クラウド電話の契約やアプリケーションの導入だけでなく、現在の電話業務を確認したうえで、電話環境全体を設計します。
1.現状調査
現在使用している電話番号、回線、電話機、主装置、FAX、転送設定、営業時間、担当者、拠点などを確認します。
また、実際の電話業務について、次のような点を整理します。
- 誰が代表電話を受けているか
- 電話をどの部署へ取り次いでいるか
- 担当者が不在の場合にどうしているか
- 営業時間外の電話をどう処理しているか
- 外出中や在宅勤務中に電話を受ける必要があるか
- 災害時にどの番号を維持する必要があるか
2.着信フローの設計
代表電話へ着信した後の流れを設計します。
- 全員を同時に呼び出す
- 担当者を順番に呼び出す
- 部署ごとに振り分ける
- 自動音声で案内する
- 一定時間後に別の担当者へ転送する
- 営業時間外は留守番電話へ接続する
- 休日は専用の案内を流す
- 緊急時は別拠点や携帯電話へ転送する
単に電話が鳴る環境ではなく、取りこぼしや担当者への集中を減らす構成を検討します。
3.ネットワークの確認
クラウド電話の品質は、ネットワーク環境の影響を受けます。
ルーター、無線LAN、回線速度、通信の混雑、拠点間接続などを確認し、必要に応じてネットワーク構成も見直します。
通常版と閉域接続を使用するダイレクト版のどちらが適しているかも、利用条件を確認して判断します。
4.導入・初期設定
契約内容に応じて、次のような設定を支援します。
- ユーザー登録
- 電話番号と内線番号の割り当て
- パソコンやスマートフォンへのWebex導入
- IP電話機の設定
- 自動音声応答
- ハントグループ
- コールキュー
- 営業時間と休日
- 転送設定
- 留守番電話
- 電話帳データ
- 管理者権限
5.利用者への説明
導入後に職員が操作できなければ、電話業務が止まります。
発信、着信、保留、転送、内線、留守番電話、スマートフォンでの利用方法など、実際の業務に必要な操作を説明します。
6.導入後の運用支援
電話環境は、組織とともに変化します。
TrusKiteでは、導入後も次のような更新を支援します。
- 入社者の追加
- 退職者の削除
- 内線番号の変更
- 電話帳データの更新
- 部署異動に伴う着信先変更
- 営業時間や休日の変更
- 自動音声案内の変更
- 新しい端末への設定
- 転送先の変更
- トラブル発生時の原因確認
クラウド電話は、機器を購入して終わる設備ではありません。
継続的に設定を整えることで、組織変更や働き方の変化に対応できます。
電話のクラウド化は、電話機の入れ替えではない
従来型ビジネスフォンには、分かりやすい操作性と、事務所内で電話を処理するための優れた仕組みがあります。
その利便性を無理に捨てる必要はありません。
一方で、会社の電話が事務所、主装置、特定の担当者だけに依存している状態は、BCPの観点から見直す必要があります。
ひかりクラウド電話 for Webex Callingを利用すると、会社の電話番号をパソコン、スマートフォン、対応電話機などで利用し、複数の場所と担当者へ着信を分散できます。
また、自動音声応答、着信グループ、コールキュー、営業時間、休日、転送先などを組み合わせ、企業の業務に合わせた電話の流れを設計できます。
ただし、クラウド電話を契約するだけで、すべての問題が解決するわけではありません。
既存回線、FAX、特殊機器、ネットワーク、電源、端末、アカウント管理、障害時の対応まで含めて設計する必要があります。
電話のクラウド化とは、電話機を新しくすることではありません。
場所や特定の設備に依存していた会社の電話を、事業を継続できる通信基盤へ組み替えることです。
TrusKiteでは、現在の電話環境と業務内容を確認し、着信フローの設計、導入、端末設定、利用者への説明、電話帳や利用者情報の更新まで、継続して支援します。
ぜひお気軽に問合せフォームからご連絡ください。
※本記事に記載したサービスおよび機能は、2026年7月時点のNTT東日本およびCiscoの公開情報を基にしています。契約プラン、利用地域、回線、ライセンス、端末およびサービス改定により、利用できる機能が異なる場合があります。
※クラウド電話の導入によって、すべての通信障害、停電、災害、機器故障、サイバー攻撃または電話の不通を防止できるものではありません。
※本記事で紹介する設計および運用方法は、TrusKiteが独自に検討する構成例です。NTT東日本またはCiscoによる公式な推奨構成、代理店関係または提携関係を示すものではありません。