社外のスマートフォンは安全ですか?NextDNSで危険な通信先への接続リスクを減らす

社内だけ守って安心していませんか?
NextDNSで外出先のスマートフォンにもう一つの防御層を
企業のセキュリティ対策では、ルーター、UTM、セキュリティ機能付きアクセスポイントなどを組み合わせ、社内ネットワークを多層的に守る方法が有効です。
しかし、業務用スマートフォンを社外へ持ち出した瞬間、その端末は社内のUTMやアクセスポイントによる保護範囲から外れます。
外出先では、次のような通信環境を利用します。
- 携帯電話回線
- 自宅のWi-Fi
- ホテルや飲食店のWi-Fi
- 駅や商業施設の公衆Wi-Fi
- 取引先が提供するゲスト用Wi-Fi
- テザリングやモバイルルーター
社内ネットワークを十分に対策していても、スマートフォンが社外で利用する通信に同じ防御が適用されるわけではありません。
業務用スマートフォンには、メール、クラウドストレージ、取引先の連絡先、チャット、写真、認証アプリなど、企業にとって重要な情報が保存されています。
そのため、企業のセキュリティ対策は、事務所の中だけで完結させるべきではありません。
社内ネットワークの防御と、社外へ持ち出す端末の防御を分けて設計する必要があります。
外出先で起きた危うい出来事
外出先で、業務に必要な情報をスマートフォンから調べていたときのことです。
検索結果に表示された個人ブログを開き、記事を読み進めていました。
ページ内に、続きの情報を確認するためのボタンのような表示がありました。特に深く考えずにタップすると、別のWebサイトへ移動し、クレジットカード情報の入力を求める画面が表示されました。
画面のデザインは、一見すると実在するサービスのように作られていました。
しかし私は違和感を覚えURLを確認してみました。すると正規サービスとは異なるドメインだったため、情報を入力する前に画面を閉じました。
あと少し判断が遅れていれば、カード番号、有効期限、セキュリティコードを入力していた可能性があります。
普段からセキュリティを意識していても、外出中で急いでいるときや、必要な情報を探すことに集中しているときは、判断が一瞬遅れることがあります。
この経験で改めて感じたのは、利用者の注意力だけに頼る対策には限界があるということです。
「怪しいサイトを開かないように気を付ける」
この意識は重要です。
しかし、人は必ず判断を誤ります。
危険なリンクを押さないように教育するだけでなく、押してしまった場合にも接続を止められる可能性を高める必要があります。
そこで検討できる対策の一つが、DNSフィルタリングです。
スマートフォンを狙う入口はメールだけではない
フィッシング詐欺というと、不審なメールから偽サイトへ誘導される攻撃を想像しやすいかもしれません。
現在は、メール以外にもさまざまな入口があります。
- SMSに記載されたURL
- チャットやSNSで送られたリンク
- Webサイト内の広告
- 個人ブログに設置された不正なリンク
- 検索結果に表示された偽サイト
- 店舗や郵便物に記載されたQRコード
- 配送通知を装ったメッセージ
- 金融機関やカード会社を装った警告
- アカウント停止を装った通知
- 無料アプリ内に表示された広告
スマートフォンでは、画面が小さいためURL全体を確認しにくく、パソコンよりも接続先を判別しづらい場合があります。
また、移動中や作業の合間に操作することが多く、落ち着いて確認する時間を取りにくいことも問題です。
不審なサイトへ接続しただけで、直ちにクレジットカード情報が盗まれるとは限りません。
しかし、正規サイトに似せた入力画面でカード番号、ID、パスワード、認証コードなどを入力すると、その情報が攻撃者へ送信される可能性があります。
人の注意力だけに依存せず、危険性が確認されている接続先を技術的に遮断する仕組みを組み合わせるべきです。
DNSとは何か
Webサイトを開く際、スマートフォンやパソコンは、Webサイトの名前を通信先のIPアドレスへ変換します。
例えば、利用者がブラウザへWebサイトのアドレスを入力すると、端末はDNSサーバーへ問い合わせを行い、そのWebサイトが使用している通信先を確認します。
DNSは、インターネット上の住所案内に相当する仕組みです。
通常のDNSは、接続先を案内することが主な役割です。
DNSフィルタリングでは、この問い合わせの段階で接続先を確認し、危険性が確認されているドメインや、企業の利用方針で禁止しているドメインへの接続を止めます。
つまり、Webサイトが表示された後に警告するのではなく、危険な通信先へ向かおうとした段階で接続を止める防御層です。
NextDNSとは
NextDNSは、DNSフィルタリングと暗号化DNSを提供するクラウド型のサービスです。
スマートフォン、パソコン、タブレット、ルーターなどへ設定することで、端末が利用するネットワークにかかわらず、共通のDNSフィルタリングを適用できます。
NextDNSでは、次のようなセキュリティ機能が案内されています。
- マルウェアに関連するドメインの遮断
- フィッシングサイトの遮断
- クリプトジャッキング対策
- DNSリバインディング対策
- 見た目の似た文字を使うIDNホモグラフ対策
- 正規ドメインに似せたタイポスクワッティング対策
- DGAによって生成された不審なドメインへの対策
- 新たに取得されたドメインへの接続制御
- 広告やトラッカーの遮断
- 許可リストと拒否リストの設定
NextDNSは、複数の脅威情報を利用し、危険性が確認されたドメインへの接続をDNS段階で遮断します。
社外でも共通の対策を適用できる
事務所内では、UTMやセキュリティ機能付きアクセスポイントによって通信を確認できます。
しかし、スマートフォンが携帯電話回線や外部のWi-Fiへ切り替わると、社内のセキュリティ機器を経由しません。
NextDNSを端末側へ設定すると、利用する回線が変わっても、同じDNSフィルタリングを継続して適用できます。
例えば、次のような場面です。
- 外出中に携帯電話回線を使用する
- 自宅で業務用スマートフォンを使用する
- ホテルのWi-Fiへ接続する
- 取引先のゲスト用Wi-Fiを利用する
- モバイルルーターへ接続する
Apple端末向けのNextDNS設定では、構成プロファイルを生成し、すべてのネットワークへ適用できます。端末名を設定し、ログ上で端末を識別することも可能です。
Androidでは、OSのPrivate DNS機能へNextDNSのホスト名を設定できます。Googleは、利用可能なすべてのネットワークでPrivate DNSを使用する設定を提供しています。
失敗談の場面でNextDNSはどう働くのか
先ほどの個人ブログからフィッシングサイトへ移動したケースで考えます。
リンク先のドメインが、NextDNSが参照する脅威情報でフィッシングサイトとして登録されていた場合、スマートフォンがそのドメインを表示するためのDNS問い合わせを行った段階で、接続を遮断できる可能性があります。
正規サイトに似た文字を使用するドメインや、取得されたばかりのドメインを制限する設定も利用できます。
これにより、利用者が誤ってリンクをタップした場合でも、偽の入力画面が表示される前に通信を止められる可能性が高まります。
ただし、NextDNSを設定すれば、すべてのフィッシングサイトを必ず防げるわけではありません。
次のような通信は、DNSフィルタリングだけでは防げない場合があります。
- まだ脅威情報へ登録されていない新しい攻撃サイト
- 正規のクラウドサービス内に作成された不正ページ
- 乗っ取られた正規Webサイト
- IPアドレスを直接指定する通信
- 端末内の不正アプリによる通信
- 許可したドメイン上で行われる不正な処理
- 暗号化された通信内容の内部にある危険な情報
NextDNSは、危険な接続先を遮断するための追加防御です。
利用者の確認、OS更新、多要素認証、端末管理などを置き換えるものではありません。
NextDNSでできること
危険なドメインへの接続リスクを下げる
マルウェアやフィッシングに関連すると判断されたドメインへの接続をDNS段階で遮断します。
正規サイトに似せたドメインへ対策する
文字の入れ替え、似た文字、スペルミスなどを利用し、正規サイトに見せかけるドメインへの対策機能があります。
新しく取得されたドメインを制限する
攻撃の直前に取得されたドメインが悪用されることがあります。
NextDNSでは、新規取得ドメインを制限する設定が用意されています。ただし、正規に開設された新しいWebサイトも対象になる可能性があるため、業務への影響を確認しながら設定します。
広告やトラッカーを遮断する
Webサイトやアプリ内の広告、利用状況を追跡する通信を遮断できます。
不正広告から危険なサイトへ誘導されるリスクを減らす効果も期待できます。
端末ごとの通信状況を確認する
ログを有効にすると、端末がどのドメインへ接続しようとしたか、何が遮断されたかを確認できます。
これにより、利用者から次のような相談を受けた場合に原因を調べやすくなります。
- 特定のWebサイトだけ開けない
- 業務アプリが正常に動かない
- 何度も危険な通信が遮断されている
- 不審な広告が表示された
- 端末が見覚えのないドメインへ通信している
NextDNSでできないこと
DNSフィルタリングは、スマートフォンのセキュリティ全体を担うものではありません。
GoogleもAndroidのPrivate DNSについて、保護できるのはDNSの問い合わせと応答だけであり、それ以外は保護できないと説明しています。
NextDNSだけでは、次の対策はできません。
- スマートフォン内のマルウェアを駆除する
- 不正なアプリのインストールを完全に防ぐ
- OSやアプリの脆弱性を修正する
- 端末の紛失や盗難を防ぐ
- 保存されたデータを暗号化する
- パスワードの漏えいを防ぐ
- 多要素認証の代わりになる
- 通信内容全体をVPNのように保護する
- すべてのフィッシングサイトを検出する
- 利用者が設定を解除することを必ず防ぐ
NextDNSは、スマートフォンへ加える一つの防御層です。
スマートフォンを守る7つの対策
TrusKiteでは、NextDNS単体ではなく、次の対策を組み合わせる構成を推奨します。
1.OSとアプリを更新する
Android、iOS、ブラウザ、メール、業務アプリなどを最新の状態に保ちます。
2.画面ロックと端末保護を設定する
推測されにくいパスコード、生体認証、自動ロックを設定します。
紛失時に第三者が容易に端末を操作できない状態を作ります。
3.NextDNSで危険な通信先を制限する
携帯電話回線や外部Wi-Fiでも、共通のDNSフィルタリングを適用します。
4.多要素認証を設定する
メール、クラウドストレージ、会計、チャットなどの重要なアカウントには多要素認証を設定します。
フィッシングに強いパスキーへ対応しているサービスでは、パスキーの利用も検討します。
5.紛失時に遠隔ロック・消去できる状態にする
企業所有端末では、MDMなどを利用し、端末の設定、アプリ、紛失時の処理を管理できる構成が望まれます。
6.インストールするアプリを管理する
提供元が不明なアプリや、業務上必要のないアプリをインストールしないルールを設けます。
アプリが求める権限も確認します。
7.継続的に設定とログを確認する
ブロック設定を導入して終わりにせず、誤検知、許可リスト、端末変更、退職者の登録解除などを継続して管理します。
iPhone・iPadへの導入
NextDNSは、Apple端末用の構成プロファイルを生成できます。
構成プロファイルをインストールすることで、iPhoneやiPadが利用するDNS設定を変更し、複数のネットワークへ共通の設定を適用できます。
Appleは、構成プロファイルについて、企業や学校のネットワーク、アカウントなどを使用するための設定を端末へ定義する仕組みとして説明しています。インストール済みのプロファイルは、設定内のVPNとデバイス管理から確認できます。
企業がMDMで管理しているApple端末では、暗号化DNSの設定を管理対象端末へ配布する構成も可能です。Appleの管理機能は、HTTPSまたはTLSを使用するDNS設定に対応しています。
NextDNSの構成プロファイルでは、監視対象として管理されている端末に限り、利用者による無効化を禁止する設定も提供されています。
個人管理の端末では、利用者自身がプロファイルを削除できる場合があります。
企業として設定を強制する必要がある場合は、NextDNSだけでなく、Apple Business ManagerやMDMを含む端末管理を検討します。
Androidへの導入
Androidでは、Private DNSの設定へNextDNSが指定するホスト名を登録できます。
一般的なAndroidでは、次の項目から設定します。
- 設定を開く
- ネットワークとインターネットを開く
- Private DNSを選択する
- Private DNSプロバイダのホスト名を選択する
- NextDNSが指定するホスト名を入力する
- 保存する
端末メーカーやAndroidのバージョンによって、項目名や場所が異なる場合があります。
Googleは、Private DNSを利用可能なすべてのネットワークで使用できる設定として案内しています。一方、保護される範囲はDNSの問い合わせと応答に限られます。
利用者が設定を変更できる端末では、Private DNSを無効にされる可能性があります。
企業所有のAndroid端末で設定を統一する場合は、MDMやAndroid Enterpriseなどによる端末管理も検討します。
ログは便利だが、無条件に保存してはいけない
NextDNSでは、端末が問い合わせたドメインや、遮断された通信をログで確認できます。
ログは、次の用途に役立ちます。
- 不審な通信の確認
- 誤検知の調査
- 業務アプリが動作しない原因の確認
- フィッシングサイトへの接続試行の確認
- 端末ごとの通信傾向の把握
- 設定変更後の動作確認
一方、DNSログからは、利用者がどのサービスへ接続しようとしたかを推測できる場合があります。
企業が従業員の端末へ導入する場合は、ログの目的、保存期間、閲覧権限を決める必要があります。
NextDNSでは、ログを無効にすることもでき、保存期間は1時間から2年まで選択できます。ログの保存地域として案内されているのは、米国、欧州連合、英国、スイスです。
2026年7月時点では、日本国内はログ保存地域の選択肢として案内されていません。
国内データ保管を必須とする企業や、厳格な委託先管理が必要な業種では、この点を確認したうえで採用を判断すべきです。
ログを保存する場合は、最低限次のルールを定めます。
- ログを保存する目的
- 保存する期間
- 閲覧できる管理者
- 調査を行う条件
- 従業員への説明
- 退職者や端末交換時の登録解除
- ログを削除する手順
- 私物端末を対象にするか
- 業務用端末だけを対象にするか
業務用スマートフォンを基本対象とし、私物端末へ導入する場合は、取得する情報と管理範囲について本人へ明確に説明する必要があります。
企業利用ではBusinessプランを使用する
NextDNSには、個人向けのProプランと、中小企業向けのBusinessプランがあります。
Proプランは、個人と近親者による利用を対象としています。企業のスマートフォンや従業員を対象に導入する場合は、Businessプランを前提に検討すべきです。
2026年7月時点のBusinessプランは、従業員50人ごとの料金体系となっており、無制限のDNS問い合わせ、端末、設定、全機能、メールサポートが案内されています。
無料プランは月間問い合わせ数に上限があり、上限を超えた後は通常のフィルタリングを行わないDNSとして応答します。企業の継続的なセキュリティ対策を無料枠だけに依存させるべきではありません。
TrusKiteが行う導入・運用支援
TrusKiteでは、NextDNSのアカウントを作成して端末へ設定するだけでなく、企業の利用環境に合わせた運用を設計します。
現在の端末環境を確認する
- 業務用スマートフォンの台数
- AndroidとiPhoneの内訳
- 企業所有端末と私物端末の区分
- 利用している業務アプリ
- MDM導入の有無
- 社内ネットワークのDNS設定
- VPNの利用状況
- 管理者と利用者の範囲
セキュリティ設定を設計する
- 有効にする脅威対策
- 使用するブロックリスト
- 新規取得ドメインの制限
- タイポスクワッティング対策
- 広告・トラッカーの遮断
- 許可リストと拒否リスト
- 業務サービスの除外設定
- 端末ごとの識別方法
ブロック項目を増やせば安全性が高まるとは限りません。
業務に必要なサービスまで遮断すると、利用者が設定そのものを無効にする原因になります。
必要な防御と業務上の利便性を両立させる調整が重要です。
端末へ導入する
- AndroidのPrivate DNS設定
- iPhone・iPad用構成プロファイルの作成
- QRコードや短縮リンクを使用した導入
- MDMを利用した一括配布の検討
- 端末名の登録
- 動作確認
- ブロックテスト
導入後も継続して管理する
- 誤検知の解除
- 業務サイトの許可リスト追加
- 不要になった設定の見直し
- 端末交換時の再設定
- 入社者の端末追加
- 退職者の端末解除
- ログ保存期間の見直し
- 不審な通信の確認
- 利用者からの問い合わせ対応
NextDNSは、導入後の調整が必要なサービスです。
最初から厳しい制限を一律に適用するのではなく、業務への影響を確認しながら段階的に設定します。
社内と社外を一つの方針で守る
社内では、企業向けルーター、UTM、セキュリティ機能付きアクセスポイントによって、多層的なネットワーク防御を構築できます。
しかし、スマートフォンを社外へ持ち出すと、その端末は社内のセキュリティ機器を経由しなくなります。
そこで、端末側へNextDNSを設定し、外出先でもDNSフィルタリングを適用します。
TrusKiteが考えるスマートフォンの防御は、次の構成です。
社内ネットワークの多層防御
+社外端末のDNSフィルタリング
+OSとアプリの更新
+多要素認証
+画面ロックと端末暗号化
+紛失時の遠隔ロック・消去
+継続的な設定管理
NextDNSを導入したから、危険なリンクを確認せずに開いてよいわけではありません。
反対に、利用者が注意しているから、技術的な対策が不要になるわけでもありません。
人が判断を誤ることを前提として、誤ってリンクを押した場合にも被害へ直結しにくい環境を作ることが重要です。
スマートフォンのセキュリティ対策とは、利用者を信用しないことではありません。
人の注意力だけへ責任を集中させず、仕組みで補うことです。
※本記事に記載したNextDNS、AndroidおよびApple製品の機能は、2026年7月時点の各社公開情報を基にしています。OS、端末、契約プラン、ネットワーク、VPN、MDMおよびサービス改定により、利用できる機能や設定方法が異なる場合があります。
※NextDNSの導入によって、すべてのフィッシング、マルウェア、不正アクセス、情報漏えいまたはサイバー攻撃を防止できるものではありません。
※本記事で紹介する構成は、TrusKiteが独自に検討する構成例です。NextDNS、GoogleまたはAppleによる公式な推奨構成、代理店関係または提携関係を示すものではありません。